中国どう出る 台湾海峡への波及は? ウクライナ危機の深層

有料記事今さら聞けない世界ウクライナ侵略の深層

台北=石田耕一郎
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 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の懸念が高まるなか、中国の軍事威圧で緊張状態が続く台湾海峡にも注目が集まっています。力による現状変更は国際秩序を大きく揺るがしかねません。ウクライナ危機は中国の動向に影響し、台湾問題にも波及するのでしょうか。ドイツへの留学経験があり、台湾国防部(国防省)傘下のシンクタンク「国防安全研究院」で中国政治や中国軍の分析を続ける許智翔氏に聞きました。

――隣接する権威主義の大国から圧力を受けるという点で、台湾にはウクライナとの共通点があります。蔡英文(ツァイインウェン)総統は1月末、政権内にウクライナ関連情報を収集・分析するチームを設けました。

 「ウクライナには東部の親ロ派住民がおり、台湾にも中国に融和的な人たちがいます。でも、台湾世論の対立はウクライナほど深刻ではありません。また、台湾は世界の製造業のサプライチェーン(部品供給網)で重要な位置を占めています。地政学的にも、台湾は東アジアの要所にあり、(米国などにとっての)戦略的な位置づけが異なります。多くの点でウクライナとは比較できないのです」

 「一方で、今回の蔡政権の対応は当然だと思います。最悪のケースを想定して動くことは危機管理の基本だからです。専門のチームを設けて対処することで、世論の動揺を防ぐ効果もあります」

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    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2022年2月17日8時13分 投稿
    【視点】

     怜悧なこのインタヴューでの議論とはやや異なるが、ごく基本的な姿勢の問題として、日本の大部分は、ウクライナの危機に際して、できるだけジッとしていようと、誰か他の人や国が対処すべきだと、そう身構える。自分が直接には関係のない地域の紛争に首を突

    …続きを読む