日の丸を背負う選手に求められるのは能力だけではない。侍ジャパンに初選出され、3月6日に行われた欧州代表との強化試合(京セラ)に出場したオリックス・山下舜平大投手(21)は、一流と呼ばれる選手には共通点があることに気づいたという。
「トップに立つ方々は野球以外でも人として素晴らしいところもあるのだなと改めて思った」
日本代表として過ごしたのはわずか3日間だったが、そこでの経験は何物にも代えがたいものだった。今回の侍ジャパンのメンバーには近藤(ソフトバンク)や源田(西武)、栗林(広島)ら昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した選手もおり、彼らと交流するなかで選手としての能力以上に、その人間性に感銘を受けた。
「自分が言える立場かどうか分からないですけど、尊敬されるような人が多いんじゃないかなと思う」
野球が上手いだけでは本当のプロフェッショナルとはいえない。尊敬されるような人間性も持ち合わせているからこそ、日本代表に必要とされる。山下は自分を見つめ直すように「野球をやる以前の問題だと思うので、そういうところはしっかりしたい」と深くうなずいた。
「未熟な部分が多い」と自己分析する右腕は読書が趣味で、グラウンド外でも貪欲に様々な考え方や知識を吸収し、心技体での成長を目指している。
侍デビュー戦となった6日は六回に登板し、2回零封。シーズン開幕に向けた調整段階にあるにもかかわらず、自己最速まで1キロに迫る159キロを計測し、実力を証明した。チームは5-0で快勝した。
「短いイニングだったのでなんとも言えないけど、アベレージ(平均球速)が上がってくれば、マックスもどんどん上がると思う。いい方向にいっている」
過去の自分を超え、未知の領域へ突き進む。投手としても人間としても成熟した先に、日の丸を背負い、世界の舞台で活躍する明るい未来が待っている。(織原祥平)